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振り返るとそこには、車から降り、息を切らせて駆けてくる湊がいた。少しお骨話ている様子だ。 「どうして…?電話出なかったのに、、、」 その温もりに顔を埋めたい。寒くて心細かったから、温めてほしい。そう思うけれど、アキトだったらそんなことをしないから、アキは必死で我慢した。少し、泣きそうだ。 「アキトがあんまりよくいなくなるから、GPSを登録しておいたんだ。よく事件に巻き込まれるだろ、お前。」 事件…?そんなこと知らない。アキがどんなに記憶の中を探っても、事件らしきことは思い当たらなかった。 「俺、なんか事件に巻き込まれてたっけ?」 声がくぐもっているのがわかる。アキトの振りをしようとしているのに、どうしても安心感から出る涙が溢れてしまいそうで。 「お前、 …泣き虫になったな。」 ぎゅっと抱きしめられ、大好きな匂いが身体を包んだ。頭を優しく撫でられると、もうだめで。 「泣き虫なのは、嫌い?」 そう言っていたずらっぽく上目遣いで問うことが、今アキに出せる精一杯のアキトっぽさだった。完全になり切ろうと思ったのに、これでは意味がない、と反省する。 「…悪くない。」 そう言って微笑む湊が、甘いキスを涙で濡れた唇に落としてくれた。 そのあと車で帰っていると、先ほど見た景色が見えてきた。     
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