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そうしたらっ!…アキトくんならきっともっとうまくやっていただろうって… 」
…泣かれても困ってしまう、とアキは思った。だってそれはアキのしたことではないし、か弱い女性を守って無事帰ったアキトがそのことを後悔しているとも思えなかった。
それにしたって、とアキは思う。そんなことがあったのに、湊との記憶からそれはすっぽりと抜け落ちている。情けない話だ。全て忘れて湊に全て背負わせて…
でも、どうしてそれなら湊は、そんなことがあってまで穢れたアキトと一緒にいたのだろう…?とは思った。
不思議だ。同じ人なのに、アキトには平凡なアキとは違って、それほどまでに湊を惹きつける何かがあったのだろうか。
アキは考えるのをやめ、目の前の愛理に手拭きを差し出した。こういうことは湊と話し合わないと答えが出ないだろう。
「色々ありがとう。
冷めちゃったね、ごめん。」
滞った空気がその言葉で変わったのがわかった。愛理も無理に笑顔を作ると、その固い笑顔のまま食事に手をつける。
「ううん、いいの。こちらこそ、ありがとうね。泣いちゃってごめんなさい。みっともなかったね。」
その時だった。いきなり、アキの携帯の着信がなる。
いきなりのことに驚いて、愛理に一言ことわり外に出ると、
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