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「ねえ、俺はアキじゃないけれど、アキは湊さんといてすごく幸せそう。このまま事件のことは隠して、一緒にいてあげてくれないかな?
生きているうちは、幸せに過ごして欲しいんだ。死んだら地獄に落ちて全部償うし。
…それに、湊さんももう、アキのことも好きなんでしょう?」
何も言い返せなかった。確かに湊は、アキトのふりをしてまで湊を励ましたアキの優しさを、愛している。それでも。
「俺は、やっぱりアキトが好きだよ。アキのことも好きだ。でもアキトといたい。アキトはやっぱり、俺にとっての特別だから。」
アキトの目が細められ、そのまま彼はふわっと微笑む。彼は嬉しい、と呟くと、湊の身体に抱きついてきた。
…ピタリと湊の胸板についたアキトの肩は、小刻みに震えていて。
湊はその身体を包み込み、もう一度、今度は優しいキスをちゅっと落とす。
「それでも、俺は、消えるよ。もう、疲れたんだ。最後に湊さんにちゃんと別れが言えてよかったよ。」
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