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「にゃ…」
ソラタの鳴き声は此方に向かって大丈夫だと言っているように聞こえた。だが、鳴き声は弱々しく安心出きるものではなかった。
同じ年齢だったのにいつの間にかソラタの方が年上になっていた。そして、ついにはこの間亡くなったおばあちゃんと同じ年齢となっていた。長いこと一緒にあったぬくもりがいつ無くなってしまうのか…
そんな不安を感じ取ったのかソラタはペロペロと手を舐めてくる。
ソラタの背を優しく撫でる。
「ごめん…ごめんね」
端から見たら猫に謝る変なやつに見えるだろう。事情を知っても『たかが猫相手に』と思うかもしれない。それでも、ソラタは自分の中ではかけがえのない家族で、友達で、親友なのだ。
「ソラタ」
「…」
呼吸が浅くなっていく。涙が溢れてくる。
「ソラタ」
ソラタはペロリと手に落ちた水を一舐めする。
「ソラタ」
ソラタは目を閉じる。
「ソラタ」
ソラタは反応しない。
「ソラタ…ソラタ」
ソラタの高い体温は心なしか冷たくなっていく気がする。いや、実際冷たくなっていっていたのだろう。
「嫌だよ。ソラタ」
いつもはギュッと抱き締めたら嫌がるのに抱き締めても何の反応もしない。
「ソラタ」
大人になっても隣にあったぬくもりは覚えていられるのだろうか?
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