第1章 檻の中の双子

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俺が篠崎 涼介になったのは、2歳の時だという。 両親と祖父母を順に亡くし、身寄りを無くした俺を養子に迎えてくれたのが、篠崎夫婦だった。 そこには俺と同い年の子供がいて、物心ついた時には、互いに双子だと教えられていた。 偶然にも2人とも9月生まれで、育つ環境が同じとくれば、血が繋がっていなくても似てくるもので。 俺たちは、12歳まで何も知らずに、“双子”でいた。 初めて真実を聞いてから8年、何も変わらなかったわけじゃない。 正確に言えば、両親とはほとんど変わりがない。ただ、父さん母さんと呼ぶのを躊躇い、名前で呼ぶようになったくらいだ。 大きく変わったことと言えば 「……はよ」 寝起きで掠れ、常よりさらに低く聞こえる声に顔を向ける。 俺より10cm以上高い位置にあるその顔は、どこかぼやっとしていて覇気がない。 だらしない格好に眉を寄せ、さっと顔を逸らした。
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