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「ん? あ、あー……」
汚れたりしないよう、またそぉっと紙袋に戻す俺に笑顔を見せた哉太が、広げていた弁当に手を伸ばす。
なんだと思う暇もなく、哉太の口にだし巻きが1つ放り込まれた。
「んー、やっぱり涼介のだし巻き美味い。俺、このだし巻きと結婚したい」
漫画みたいに両手を顔に添えて、哉太が頬を緩める。
「わけ分かんねぇし。俺の感動を返せ」
「とか言いながら、美味いって言われて嬉しそうな涼介、可愛いよね」
「喧嘩売ってんのか。そんで弁当に触んな、自分の食えよ」
ちゃっかりまた弁当に伸びていた腕を押しのければ、心底悔しそうに哉太が舌打ちをした。
だし巻き1つは許せても、全部は渡せない。これは俺の昼飯だ。
腕に抱え、更に背中でガードする俺に、哉太は肩を竦めてコンビニ袋からパンを取り出す。出来れば、最初からそうして欲しかった。
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