第1章 檻の中の双子

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「さて、めでたく20歳になったわけだけど。どうする? 飲みに行ってみる?」 僅かな警戒を残しながら、やっと弁当に箸を付けた俺に、哉太が首を傾げる。 「酒なぁ……」 俺より20歳になった哉太は、よくこうして誘ってくれる。 俺としても、この間まで苦いとか不味いと感じていた酒が、20歳になったら変わるのかな、みたいな興味はあるんだけど。 「今日は、やめとく」 「その心は?」 「夕飯の支度してないから」 ぶはっと、哉太が吹き出す。 確かに男子大学生らしくない発言だけど、そんなに笑わなくても。 ひーひー言いながら、哉太が目尻に浮かんだ涙を拭った。 「あー、面白い。涼介、ルームシェアしてんだろ? 相手にさせればいいのに」 「料理、つか家事全般出来ないらしい。ギリギリ洗濯はさせてるけど、包丁だけは握らすなって、優美さんからのご命令だ」
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