第1章 檻の中の双子

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もともと家事は、当番制にするはずだったんだけど。ルームシェア決定後、優美さんから色々教えて貰ってる段階で、聖司が脱落。 で、結局俺が全部を引き受けることになって。 「あぁ、お母さんからの命令は、お前には逆らえないよな」 哉太の苦笑いに、思わずため息が漏れる。 俺の出生について知っている哉太は、無意識なのか、時々こうやって欲しい言葉をくれる。 優美さんたちには、もちろん感謝しているし、逆らおうなんて気も、最初からないんだけど。出来るなら、俺だって自由にしてみたいわけで。 「……まぁ、仕方ないんだよな」 「あんまり、頑張りすぎんなよ」 “逆らえない”とか、“仕方ない”という言葉で、無理やり自分を納得させて。優美さんには申し訳ないけど、やっぱりちょっと不公平だ。 ポンポンと、子供を宥めるみたいな哉太の手に、またため息が漏れた。
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