第1章 檻の中の双子

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*** 『涼介、お誕生日おめでとう』 その日の晩、優美さんからの電話があった。 相変わらず柔らかい声に、昼間のことを思い出して、罪悪感がぶわっと膨れる。 育てて貰ったのに、文句なんか言うんじゃなかった。 「ありがとう。優美さんたちは、変わりない?」 『うん? そうね、特に変わりはなく。毎日、元気に過ごしてるよ』 コロコロ笑う、優美さんの笑い声も相変わらずで。誤魔化すはずの罪悪感が、余計に膨れて、思わず息を吐いた。 『何かあった? 聖司のこと?』 今のため息が、聞こえていたんだろう。 心配する優美さんの声に、咄嗟に頭を振った。 「ううん、別に。聖司とも上手くやってるから、心配しないで」 ズキ、と心臓が痛む。 嘘を吐いたからだろうか。 電話の向こうで、優美さんの声が乱れた。 『そう、それは良かった。あと、1つだけ良い?』
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