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「……っ、何、離せよ」
なんかの漫画みたいに追い詰められて、不意に腕を掴まれた。思わず体が跳ねて、聖司の腕を掴む指に力が入る。
「お前が望むようにしてやる。その代わり、お前を抱かせて」
「……は?」
抱かせてって、何を、誰を。
一瞬で真っ白になった頭に疑問符が並んで、浮かんだ可能性を押し消そうとする。
「女遊びやめたら、溜まったもん出せないし。お前がいる家で1人でとか、絶対嫌だからさ」
抱かせてよ、なんて。
女相手みたいな甘い声が、鼓膜を擽る。
ぞわっと駆け抜けた悪寒に、思わず聖司を突き飛ばした。まだ、耳の奥に声が残ってる。
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