第1章 檻の中の双子

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重石でも乗せられたような瞼を押し上げ、何故かぼやける視界に瞬きを繰り返す。 俺の記憶が正しければ、視力は両目とも2.0あったはずだ。 滲んで霞む天井を眺めていたら、少しの雫が耳へと流れた。 「っ……はぁ……」 どんより吐き出したため息は重く、のっそりとベッドから体を起こす。 薄い布団に、新しく頬を伝った雫が落ちた。 染み込むほどじゃないそれを指先で拭い、ぺたぺたと素足でフローリングの床を叩く。 夢の内容は、なんだっただろう。 まだ寝ぼけた頭で涙の理由を探せば、セピア色の情景が脳裏をよぎる。 それがおそらく、泣いていた理由だ。 手の甲で軽く目を擦った俺の視界に、何の印もついていないカレンダーが入る。 あぁ、そうか。 「俺、今日、誕生日か」 篠崎 涼介 涙に目が覚めた、20歳の誕生日。
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