第1章 檻の中の双子

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「……面倒だな」 馬鹿みたいな思考に、持ったままだったトーストの最後を口に放る。固くなったトーストは、あんまり美味しくなかった。 *** マンションから歩いて15分の場所に位置する大学は、周辺に駅やコンビニがあるため、毎年志願者が多い。 もともと就職するつもりだったのに、途中から大学進学に路線を変更し、それでもなんとか合格出来たのは、ほとんど奇跡だったんだろう。 秋空と言うにはまだ早い空の下、食堂を目指す奴らとすれ違いながら中庭を目指す。 第1校舎の裏側に回れば、その中心には丸い植え込み。そこから四方八方へ伸びる道のうち、北東、時計盤で言うと“2”にあたる方角に進めば、ほとんど人の来ない俺のお気に入りの場所に出る。 表の中庭に霞んで、誰も気付かないこの場所は、それでもちゃんと芝生だし、背の高い木々のお陰で日が遮られ、夏でも涼しい。
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