第5章 背中合わせの双子

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あの熱の日から数週間が経った、11月の初め。 俺と聖司の間には何の変化もなく、以前と変わらない毎日を過ごしているんだけど。 あの日からずっと、俺の中には、どうしても払拭出来ない感覚がある。常に浮き足立ってるような、ふわふわした感覚。 それがどんな意味なのかなんて、流石の俺でも分かる。だから、これだけは認められないって、ずっと思ってるんだけど。 「無理だろ、そんなの」 ガラガラとストローで氷を掻き回しながら、哉太は呆れたように息を吐く。 学校からの帰り道。 駅に向かう途中の哉太を見つけて、無理やりファミレスに連れてきたのが20分くらい前のこと。 哉太が面倒そうに欠伸をするのも、まぁ仕方ないことだろう。 ゆったり湯気を立てるココアに息を吐いて、そんな哉太から施設を逸らす。 「……無理でも何でも、認めるわけにはいかないんだって」 組んだ手をぎゅっと握りながら、唇を噛む。
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