第5章 背中合わせの双子

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こんなこと言ってる時点で、って気はするけど。 それでもやっぱり、認められない。 突き刺さる視線に耐えていたら、ぴたりと氷の音が止んで。 「じゃあなんで、俺に相談なんかしてんの。俺が無理だって言うことくらい、想像出来たよね?」 口調のわりに冷たい声に顔を上げれば、まっすぐ射抜く視線にぶつかる。 哉太の言う通り、想像しなかったわけじゃないけど。 「認めていいって、言って欲しかったんじゃないの?」 頬杖をついた哉太のそんな言葉に、胸がツキンと痛む。 多分それは、図星だからだ。 自分じゃどうにも出来なくて、認められないなんて思いながら、捨て方さえ分からなかった。 日に日に膨らんでいくこれを、俺は多分、誰かに認めて貰いたかったんだ。 「涼介はさ、真面目だから」 苦笑いをした哉太が、冬だというのにアイスコーヒーを口にする。カラリと、氷のぶつかる夏の音がした。
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