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「泊まっていけって言っても、帰るって駄々捏ねるからさぁ。仕方なく聖司くんに連絡したら、迎えに来てくれたんだよね」
なんて、軽い調子の哉太に、思わず眉間を寄せる。
ここから哉太の家まで約15分だし、そう遠い距離ではないけれど。でも、哉太のことを知らない聖司には、かなりの手間だっただろうに。
「しかも、寝てる涼介起こすのは可哀想だって、負ぶって帰ってったし」
「え、お、負ぶってって……俺、その間ずっと寝てたの??」
つい大きくなりそうな声を抑えながら、思わず哉太へと身を乗り出す。食い気味な俺が可笑しかったのか、哉太はくくっと肩を震わせて、ケーキを1口大に切り分けた。
「それはもう、よく寝てたけど? 聖司くん、話で聞くよりも、うんと優しい感じだったけどなぁ。ん」
にんまりと笑った哉太が、綺麗に切ったケーキを差し出す。
俺が甘いものを好まないと知ってるくせに、何の嫌がらせだ。
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