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「別に優しくないとは言ってない」
「優しくしてくれない、とは言ってたけどね」
いらないと首を振った俺に、哉太はケーキを口に運んでニヤリと笑う。
もしかして、それも酔った勢いで言ったんだろうか。
「酒って怖いな、涼介」
わざわざ確認するまでもなく、哉太の濃い笑顔が全てを物語っていて。この感じだと、また余計なことまで話していそうだ。
「まぁでも、根本は解決しなかったけど」
「根本って……あぁ、まぁ、そりゃあな。解決されたら困る」
残念そうな哉太に肩を竦め、そっぽを向いてカフェオレを煽る。
哉太の言う根本とはつまり、俺が聖司のことが好きだと認めなかったってことで。
酔っていても、そこだけは譲れなかったんだろうな。
「困る、ねぇ……。そんなことばっかり言ってると、誰かに奪られんじゃない?」
呆れたように息を吐き、哉太は一瞬だけカウンター席の方へ視線を移す。そっちに何があるのかなんて、見なくたって分かる。
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