第6章 嘘の真実

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呆れたと言わんばかりに肩を竦めた哉太は、音も立てずにメニューを開いた。 「……まぁ、涼介がそういうならいいけどー。な、ケーキどれにする?」 あっという間にケーキへと移った哉太の興味にほっと息を吐き、そっと聖司に目を遣る。 カウンターに身を乗り出して、知らない男と楽しそうに話す聖司は、どこから見てもここの店員で。そこに新入りのような緊張感なんて見えないし、いったい聖司は、いつから。 「ここで働いてるんだろうねー?」 「っな、……お前なぁ……!」 まるで心を読んだかのようなタイミングで、哉太はニヤニヤと頬を緩ませる。 「飽きもしないで聖司くん見つめてたけど、ケーキは決めたのかなー?」 「っるせぇな、俺はケーキいらないし。哉太こそ、決めたのかよ」 面白がるようなその表情を睨み付け、指先でメニューをトントン叩く。
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