第6章 嘘の真実

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優柔不断な哉太のことだから、どうせ決まっていないんだろうけど。 予想通り眉を寄せた哉太は、メニューを見つめてため息を吐いた。 「それがまだでさあー、聖司くんは何がいいと思う?」 すっと顔を上げた哉太の言葉に、俺が何か言うより早く水が置かれて。 反射的に上げた視線の先、困ったように眉を寄せた聖司が、いつの間にかそこに立っていた。 「どれも美味いけど、そうだな……俺は、ザッハトルテが好きだ」 「んー、じゃあそれとミルクティーのセットで! 涼介は? カフェオレ?」 パタンとメニューを閉じた哉太と、注文待ちの聖司の視線が俺に集まる。 「あー、うん、カフェオレで」 「ザッハトルテのミルクティーセットと、カフェオレな」 簡単に確認をした聖司は、形だけ頭を下げてあっさりと背を向ける。 「なかなか様になってるけど、本当、いつから働いてるんだろうね?」
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