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組んだ両腕をテーブルに乗せて、哉太は真っすぐ伸びた聖司の背中に首を傾げる。
そんなの、俺が知りたいくらいだっての。
「ここ最近、って感じじゃないよな」
「ねー、結構長そうだけど。涼介、本当に知らなかったの?」
「知ってたら来てない」
それもそうかと、哉太はあっさり頷く。
聖司がここでバイトをしていたことなんて、今の今まで知らなかった。最近では家にいる時間が長かったし、今まで帰りが遅かったのは、やっぱり夜遊びが原因だったんだって。そう、思っていたんだけど。
「意外と、夜遊びの正体もこれだったりしてね」
またもや心を読んだようなタイミングで、哉太が弄っていた携帯から顔を上げる。
「……香水の匂いがしてたのにか?」
その絶妙なタイミングが悔しくて、思わず哉太に言い返してしまったけど。哉太は気にする様子もなく、小さく肩を竦めた。
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