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「2年かぁ、どうりで慣れてるわけだ。つい気になっちゃって。仕事の邪魔してごめんねー」
「や、別に……。ごゆっくりどうぞ」
さっと頭を下げた聖司は、まるで逃げるみたいにそそくさとこの場を後にして。
「2年だってよ、涼介?」
カップに紅茶を注ぐ哉太は、どこか面白そうに口元を緩める。
わざわざ言われなくても、ちゃんと聞いてたっつの。
「多分、こっちに引っ越して来てすぐ、ここでバイト始めたんだろうな」
「にしても、なんで涼介に言わなかったんだろうね? 言えない事情でもあったとか?」
店名の入った紙ナプキンの上に置かれた、銀色のフォークを手に哉太が首を捻る。
形が崩れないようにか、ゆっくりとケーキに刺さるそれを見ながら、ふわふわ湯気を立てるカフェオレに口を付けた。
「どんな事情だよ、それ。て言うか、お前ら会ったことあったっけ? なんかやけに仲良さげだけど」
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