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帰宅してすぐにシャワーを浴びて、リビングに戻ってみれば、何やら聖司が難しい顔をしていて。
なんだろうと近づくより早く、チョコレートのような甘い香りが鼻先を擽る。これは多分、ココアだ。
「……あっちで待ってろ」
邪魔だと言わんばかりに、聖司はソファーを指差して手を払う。大人しくそれに従いながら、キッチンに立つ聖司を見やった。
見てるこっちがドキドキするような手つきなのに、聖司の顔は真剣で。俺が風邪をひいた時も、あんな風に雑炊を作ってくれてたんだろうか。
「ちゃんと出来んの」
「うっせ。髪でも乾かして待ってろ」
心配半分からかい半分で掛けた言葉に、聖司は不満そうに口を尖らせて顔を逸らす。
髪なんて放っておけば乾くのにと、肩にかけていたバスタオルで適当に拭う。ちゃっかり見ていたのか、聖司のため息が聞こえた。
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