第9章 甘え甘やかし、双子の姿

11/21
前へ
/21ページ
次へ
「なんかこれ、涼介の誕生日の朝みたいだな」 毎年涙で始まるその日を思い出した俺に、涼介はぎくりと体を竦ませて、目を丸くした。 「ど、どういう……」 「涼介、毎年誕生日の朝は泣いてるだろ。なんかあれみたいだなーって……まさか、俺が気付いてないとでも思ってたのか?」 あまりに驚く涼介に、まさかと首を傾げれば、当の本人は赤くなったり青くなったりと忙しそうで。 こいつ、本当に俺が気付いてないと思ってたのか。 「あのなぁ……、今はともかく、前までは2段ベッドの上使ってたんだぞ、俺。夜中に啜り泣く声が聞こえたら、目だって覚めるだろ」 「そ、そんなに盛大に泣いてたのか、俺?」 自分の意思とは関係ないことなんだろうか。 涼介は、まるで記憶がないかのように、不安そうに目を泳がせる。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加