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欲しくて、だけど貰えるはずのなかった、どうしようもないくらいに甘い言葉。
心臓の裏側がむず痒くて、今すぐ涼介を抱き締めたい衝動に駆られた。涼介に触れてる部分が、擽ったい。
自分で言って恥ずかしくなったのか、僅かに身じろいだ涼介を、衝動を隠してそっと抱き締めた。
「……どうせなら、ちゃんと起きてる時に言えよ」
我ながらわざとらしいくらい不満げな声に、それでも涼介はびくりと肩を揺らす。のろのろと上がってきた視線が、驚きと羞恥に頼りなく泳いだ。
「な、なんで起きて……っ」
「だって涼介、俺の名前呼んだだろ?」
本当は、気のせいだと思ったんだけど。
この感じだとあれもきっと気のせいなんかじゃないと、カマをかけた俺に気付かず、涼介は小さく体を丸めた。
「んだよ、起きてたならそう言えよ……」
頭1つ分下がった涼介が、不満そうに眉根を寄せる。
きっと本当に不満なんじゃなくて、恥ずかしいだけなんだろう。
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