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「ごめん、なんとなく言い出しづらかったから」
「……別に、いいけど」
機嫌をとるみたいに頭を撫でてやれば、まるで猫のように目を細めて、気持ちよさそうな顔をする。なのに口振りだけは不満げなんだから、如何ともし難い。
さてどうしたものかと、猫っ毛とは程遠い髪を撫でていたら、不意に感触が消えて。あれ、と視線を下げてみれば、言いづらそうに口を尖らせた涼介が、布団の端から視線だけを寄越してきた。
「……俺も、ごめん」
まるで媚びるようなそれに息を詰めて、次いで告げられた言葉に首を捻った。
涼介が、何を“ごめん”?
今の流れで涼介が謝るところなんて、あっただろうか。
意味が分からず黙り込む俺を見て、涼介は布団の中に顔を埋めた。
「……昨日、俺、先に寝てたんだろ。聖司が布団に入った記憶ないし、だから、ごめん」
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