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「この手が、俺じゃない誰かを甘やかしたりするの、嫌だって思った。こんな風に抱き合ったり、そういうの、してほしくないって」
すん、と鼻を鳴らした涼介が、甘えるように俺の手を自分の頬に押し付ける。
撫でろと言っているようなその仕草に、反射的に指が動いた。
女の子みたいに丸みもないし、柔らかくもない。なのに、どうしても手が離せなかった。
涼介が、擽ったそうに目を細める。
「不安はあるし、答えなんて見えないけど。嫌なものは嫌なんだから、俺のものになって貰うしかないだろ?」
悪戯っぽい笑顔を見せて、なのに顔は真っ赤で。
好きとか愛してるとか、もうそんな言葉じゃ足りないくらい、胸がうずうずした。
「……じゃあ涼介は? 俺の?」
だからわざと返した揶揄うような言葉に、ぱっと目を丸くした涼介が、不満そうな顔で口を尖らせる。
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