3 聴きたい!

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3 聴きたい!

宅急便のドライバーは頑張ったら結構な給料になる。俺は最近父親になったからガンガン働いて子供を幸せにせなアカン!集配所から個人さん、代理店さんやらと毎日毎日トラックも足も全力疾走や。でも、 「ちぃいん、、ちぃいん、ちちん」 月曜の夕方、ここの代理店さんでこのリンの音を聞くと足が止まる。 「エエ音やろ?いつ聞いても・・・」 お茶をいれてくれる奥さんがいう。 「ホンマですねぇ」 奥さんが大屋の住人さんが亡くなったお母さんに鳴らすリン。 「忙しいけどゆっくりしなさいよ、  急いで事故でも起こして、  アカチャン置いて死んでしもたら  アンタの子供がこの音を頼りに  生きなアカンことになるんや」 「はい、ゆっくりしてから出発します」 「ちちん、ちぃいん、ちちん」 「ちょっと電話してもいいですか?」 「家やろ?」 最近恒例なんで奥さんは判ったことと笑顔をくれる。 「俺や、今日はこれで上がりやから  すぐ帰る。なんかケーキでも  買うて帰るわ。  お、シュウト泣いてるな、パパやで」 元気な息子の泣き声が受話器に響く。 電話を切ってもう一杯のお茶の後、車に乗る。 「ちぃいん、ちぃいん、ちぃ~ん」 またリンが響く。 なんだか無性に・・・死んだ親父の声が 聞きたい・・・。
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