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今度は恋人に
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お城の式場から離れても、敷地内には緑の生い茂るガーデンテラスが続いていた。駐車場とは反対側のその場所には、今は私たちしかいない。
色とりどりのバラが咲く静かな庭園に着くと、絢人さんは私を下ろした。ヒールの足がふらりとよろけたので、彼の腕に掴まって歩く。
「絢人さん……皆さんと飲みに行かなくて良かったんですか?」
「いいよ。あいつらとはこれからいつでも会えるから」
絢人さんの答えに首を傾げた。だってそれを言うなら、私とはいつでも会える、が正しいんじゃないかな?
「今日の真夏は、お姫様みたいで可愛いよ。……今日しか独り占めできないだろ」
キュッと握った手に、絢人さんは王子様みたいに口を付けた。彼にお姫様扱いされるたび、心臓が飛び出そうになる。
私の心を何度も揺るがしてくる。もうすでに彼の独占状態だということを、気づかれていないだろうか。
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