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熱くなりながら手の甲へのキスを受け入れた私を見つめ、絢人さんはさらに押してくる。腰を引き寄せ、頬に手をあててきた。
「……今日の結婚式。早織には悪いけど、真夏のことしか考えてなかった。真夏が花嫁だったら、って」
額をくっつけられながらそんなことを言われ、私は目を閉じた。
バラの香りがする済んだ空気も、絢人さんの腕の中も心地よくて、眠り姫のように落ちてしまいそうになる。
ぼんやりと、もう一度告白をされているのだと分かった。返事を急かされてはいないけど、返事をしなければならない気がした。
私の気持ちは傾きつつある。大学時代の自分を見て、絢人さんがいることでどれほど笑顔でいられたかを自覚したのだ。
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