今度は恋人に

4/30
前へ
/250ページ
次へ
「俺は真夏がいなきゃ何もできないよ」 「嘘……」 「嘘じゃない。俺に付いてきてくれたのは真夏だけだった。……知ってるか? 昔から俺のやりたいことと、皆が俺に期待してることは、少し違ってる」 分からなかったから、首を横に振った。 すると彼は続ける。 「周りはいつも、俺が何か大きなことをしでかすのを期待してた。待ってるんだ、皆。でも野望なんていくら持ってても、ひとりじゃ実現できないんだよ。……そんなとき、いつも真夏が支えだった。何をしようとしても、真夏は俺を信じてくれたろ。だから何でもやってこれた。……俺の思い描くことを実現させてくれていたのは真夏だよ。知らかったのか」 「……そんなっ……私、何も……」 「バカだな。思い返してみろよ。俺が真夏無しで何か成功できたことがあったか? 達成した喜びを分かち合うとき、お前がそばにいなかったことがあるか? ……真夏はずっと俺のヒーローだったよ」
/250ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2778人が本棚に入れています
本棚に追加