今度は恋人に

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少しだけ体を離して、絢人さんは額と額をくっつけた。私も見つめ合ったまま微笑んでみせる。 「私も絢人さんが好きです。ずっと気付かないふりをしていてごめんなさい。……絢人さんはもう手の届かない人だからって思うと、怖かったんです。どうしても、自分に自信が持てなかった」 「……真夏らしいな」 「絢人さんは心配じゃないんですか? ……私が恋人になって、本当に大丈夫なのか」 「全然。俺は跡継ぎとして結婚なんかしなくても、信頼や人脈なんていくらでも作っていける。大丈夫、自信がある。でも、真夏を諦めたら、もう二度と手に入らない。俺が手に入れたいのは真夏だけなんだ」 胸の奥がツンと痛み、涙がじわりと溢れてくる。嬉しくて、私は“キスして”と目を閉じた。
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