今度は恋人に

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「真夏……」 王子様のように顎を持ち上げられた後、ドラマチックなキスが降り注ぐ。 不安のない素直な気持ちで彼とキスをするのは初めてだった。以前より何倍も、気持ちよくて幸せを感じる。 “大好き”という気持ちが溢れだしたキスはどんどん深く激しくなっていく。その最中、唐突に、絢人さんは唇を繋げたまま私の体を持ち上げた。 「わっ……!」 すると唇が離れ、私の体が宙に浮いた。絢人さんが私の腰を持ち上げて、彼の背より高いところまで抱き上げていく。 思わず彼の肩に手を置いて落ちないように体を支えるが、絢人さんはより高く、高く、私を持ち上げていった。 「きゃっ、絢人さんっ、ちょっと」 「ははっ、可愛い、真夏。軽くて飛んで行っちまいそうだな」 いたずらで幸せそうな笑顔をこぼされ、私も自然に笑顔になった。 「もう、飛べるわけないですよっ」 絢人さんの頭にきゅっと抱きつく。 私はもう二度と、離れていきませんから……! 嫌になるくらい、ずっとこうして絢人さんにくっついていますからね!
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