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“うるせーな”と顔を歪めた後で、絢人さんはすぐにまたビジネススマイルに戻す。
「ええ、その件については電話でお話することではないですから、後日きちんと説明に伺いますよ」
電話の向こうはそれでは収まりがきかず、画面から飛び出してきそうなほど似たようなふたりのおじ様が詰めよってきた。
『絢人くん!! 僕はショックだよ! 大事な大事な一人娘の玲奈が君には打ち明けたのに僕には何も言ってくれずに苦しんでいたなんて! 玲奈に好きな人がいることをどうして黙っていたんだね!』
『絢人! お前も昔からどうしてそういう大事なことを父さんに黙っているんだ! 好きな人がいるならちゃんと紹介しなさい! お父さんだって絢人の彼女と仲良くしたいんだぞ! てっきり玲奈ちゃんがそうなのかと思っていたのに!』
……ん? 話がちょっと見えなくなってる気が……。
深刻な話だったんでは?
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