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遠巻きに見ている私も、現れた彼にうっかり見惚れていた。
……すごく大人っぽくなった。
そこら辺にいるただのイケメンではない、名誉や地位、さらに備わった実力に自信。それが全身から滲み出ている。
細身のスリーピースのスーツも、床が反射するくらい磨かれた靴も、整えられた黒髪も、今までの彼の輝きを証明するように洗練されていた。
「よろしく」と艶っぽい愛想を振りまきながら、オフィスの入り口から窓際までをランウェイのように歩く彼は、だんだんとこちらへ近づいてくる。
私は胸の鼓動が抑えきれず、今いる窓際からさらに奥へと避難した。
軽く目が合った気がしたので、笑顔の仮面のまま「よろしくお願いします」と周囲の黄色い声に紛れて呟くと、彼は私を二度見した。
「真夏」
み、見つかった……!
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