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ふと視界に桜の下にいる少女が目に入る。
藍色の着物を着た少女が佇んでいる。立っているだけで絵になるような少女。何を考えているのだろうーーそんなことを思っていると、こちらを見た。
驚いたような瞳。
なんでそんなに驚くのか。
「……夜宵様……」
細い声で知らない名を少女が呟く。自然と口が動いていた、何でかはわからないけど。
「あんたの大切な人?」
普通に聞いただけなのに、少しの間戸惑いながらも答えてくれた。
「そうです」
「その人待ってるの?」
それはごく自然な問いかけだと思った。しかし、少女の表情は曇りただ曖昧に微笑んだだけだった。
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