1/1
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ

ふと視界に桜の下にいる少女が目に入る。 藍色の着物を着た少女が佇んでいる。立っているだけで絵になるような少女。何を考えているのだろうーーそんなことを思っていると、こちらを見た。 驚いたような瞳。 なんでそんなに驚くのか。 「……夜宵様……」 細い声で知らない名を少女が呟く。自然と口が動いていた、何でかはわからないけど。 「あんたの大切な人?」 普通に聞いただけなのに、少しの間戸惑いながらも答えてくれた。 「そうです」 「その人待ってるの?」 それはごく自然な問いかけだと思った。しかし、少女の表情は曇りただ曖昧に微笑んだだけだった。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!