後編 春一&冬依

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どれだけ経ったかわからない間キスを交わして、そしてようやく唇が離れても、まだ足りないと思った。 どれだけ一緒にいても、どれだけ奪っても、鈴音が足りない。 それは鈴音も同じだったようで、 「春さん、……もっと、もっとしてください」 息を乱して頬を染めながら春一を求める鈴音は、クラクラするほど色っぽい。 「鈴音、いいけど……」 そう言いながら春一はキスをしない。 何も言わず、ただ、この事態を味わうように鈴音を見つめるだけだ。 鈴音は恥ずかしさに耐えきれないと、頭突きするように春一の胸に顔を埋めてくる。 「春さんはズルいです」 「ズルいって何が」 「だって――」 胸にすがりついたまま一気に顔だけあげて、全身で春一にしがみついてくる鈴音の目は、涙に滲んでいる。 唇から漏れるのは、 「はぁ……」 あえぎにも似たため息。 「私ばっかり春さんを欲しがってる」 「鈴音……」 「春さんにキスをお預けされてから、私ずっとずっと春さんを欲しがってます」
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