後編 春一&冬依

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その先は言えなかった。 鈴音が飛びついてきて、いきなり春一にキスしてきたからだ。 春一の首に腕を回して、噛みつくみたいな激しいキス。 こんなキスは初めてで、しかも鈴音からだなんて。 びっくりして……、 春一は目を閉じることも忘れた。 鈴音が踵を下ろして床に足をつけて、それでやっとのことでふたりの間に隙間ができる。 「……っ、鈴音」 信じられない春一に、 「我慢、できませんでした」 鈴音は頬を染めながら告げる。 「春さんとキスしたくて、我慢ができなかったんです」 ――思わず、春一は鈴音を引き寄せ、抱きしめる。 春一の力で鈴音の体がふわりと浮いて、鈴音の全部が春一の腕の中に収まる。 春一は鈴音の髪に顔を埋めるようにして、 「俺でいいのか」 聞けば、 「春さんがいいんです」 「――鈴音」 春一は今度は自分からキスをする。 鈴音の全部を奪う、甘く痺れるようなキスだ。
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