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その先は言えなかった。
鈴音が飛びついてきて、いきなり春一にキスしてきたからだ。
春一の首に腕を回して、噛みつくみたいな激しいキス。
こんなキスは初めてで、しかも鈴音からだなんて。
びっくりして……、
春一は目を閉じることも忘れた。
鈴音が踵を下ろして床に足をつけて、それでやっとのことでふたりの間に隙間ができる。
「……っ、鈴音」
信じられない春一に、
「我慢、できませんでした」
鈴音は頬を染めながら告げる。
「春さんとキスしたくて、我慢ができなかったんです」
――思わず、春一は鈴音を引き寄せ、抱きしめる。
春一の力で鈴音の体がふわりと浮いて、鈴音の全部が春一の腕の中に収まる。
春一は鈴音の髪に顔を埋めるようにして、
「俺でいいのか」
聞けば、
「春さんがいいんです」
「――鈴音」
春一は今度は自分からキスをする。
鈴音の全部を奪う、甘く痺れるようなキスだ。
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