前編 秋哉&夏樹

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ところが眠れたと思ったら夏樹の急襲。 危うく秋哉は貞操を奪われるところだった。 今日は厄日かと、 「ナツキこそなんだよ。今夜は帰らねーんじゃなかったのか」 ふと思いついて、 「まさかフラれたのか?」 からかうつもりで言ってやる。 「なんだよナツキも言うほどじゃねーよな。クリスマスに女にフラれるなんて、よっぽどだぜ」 世間はクリスマスイブである。 時間的にはもうクリスマス当日だし、恋人同士なら一番盛り上がっているはずの時間だ。 秋哉でさえも、まあそれなりに充実したイブを過ごしたというのに、来生家で一番リア充しているはずの夏樹が、妙な時間のご帰宅。 いったい何があったというのだろう。 ちょっと心配になって、 「ナツキなら、ひとりにフラれても次が待ってるんじゃないのか? 家に帰ってフテ寝しなきゃならない理由って何だよ」 潜り込んでいる布団に話しかける。 すると夏樹はくぐもった声で、 「フテ寝なんかしてねーよ。心底疲れただけだ」 「なんだよ、そんなにタフな女だったのか?」 少し冗談を絡めてみると、 「まあ夜はそれなりだった」 夏樹はむくりと起き上がってきた。
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