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ところが眠れたと思ったら夏樹の急襲。
危うく秋哉は貞操を奪われるところだった。
今日は厄日かと、
「ナツキこそなんだよ。今夜は帰らねーんじゃなかったのか」
ふと思いついて、
「まさかフラれたのか?」
からかうつもりで言ってやる。
「なんだよナツキも言うほどじゃねーよな。クリスマスに女にフラれるなんて、よっぽどだぜ」
世間はクリスマスイブである。
時間的にはもうクリスマス当日だし、恋人同士なら一番盛り上がっているはずの時間だ。
秋哉でさえも、まあそれなりに充実したイブを過ごしたというのに、来生家で一番リア充しているはずの夏樹が、妙な時間のご帰宅。
いったい何があったというのだろう。
ちょっと心配になって、
「ナツキなら、ひとりにフラれても次が待ってるんじゃないのか? 家に帰ってフテ寝しなきゃならない理由って何だよ」
潜り込んでいる布団に話しかける。
すると夏樹はくぐもった声で、
「フテ寝なんかしてねーよ。心底疲れただけだ」
「なんだよ、そんなにタフな女だったのか?」
少し冗談を絡めてみると、
「まあ夜はそれなりだった」
夏樹はむくりと起き上がってきた。
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