62人が本棚に入れています
本棚に追加
前編 秋哉&夏樹
平和に寝ていた秋哉は、深夜、いきなりベッドに飛び込んで来た侵入者に、ギュウウウウッと抱きつかれた。
「ちょっ、うわっ誰!?」
わけもわからないうちに羽交い締めにされ、あれよあれよという間にパジャマ代わりのTシャツを脱がされてしまう。
ついでに短パンの隙間からも手が入ってきて、
「えっ、ウソ、ちょっ待って――」
秋哉の慌てた制止も耳に入らない様子で、ソイツの手は秋哉の尻をサワリとなでる。
「きゃあぁぁぁぁ!」
秋哉は女の子みたいな悲鳴をあげてしまった。
もちろん、とても野太い声だったので、さすがの侵入者も、
「ん、あ?」
若干驚いた声を出して薄目を開ける。
この突然の痴漢行為を働いたのは夏樹だ。
夏樹は目をすがめながら、
「……んだ、秋か」
寝ぼけた声で言ったかと思うと、
「まあ、いいか」
「よくねーよ!」
秋哉は大声をあげる。
相手が実弟と知った上でも抱きついたまま、しかも、パンツの中に突っ込んだ手を抜こうとしないのは何でなのか。
理解の範疇を超えている。
秋哉は体中にたった鳥肌をさすりながら、
「どけよナツキ、さっさと退け」
「いーじゃねぇか。寒いんだ」
「寒いからってしがみつくんじゃねぇ。しかもテメー裸じゃねぇか。ヤメろ、ヤメてくれ!」
秋哉はジタバタともがくが、体中に絡みついた夏樹の腕や足はどうしたって離れてくれようとしなかった。
最初のコメントを投稿しよう!