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ほんの僅かな出来事だったので、額ににじむ汗と一緒に顔を拭ってランニングを続けた。
僕は、この時から君のことを好きになったのかもしれない。
「いってきます」
朝ごはんを手早く口の中に放り込んで、制服に着替えをすませ、履きかけの靴のまま玄関を開け、いつもの朝が始まる。
「かなた、お弁当」
おふくろが、玄関に向かってパタパタと台所から弁当箱を持ってきた。
「ありがとう」
弁当を受け取り、バックに押し込み、自転車のかごに乗せ、少し急いで通学路をこぎだす。
中学から始めた部活を転校先でも続けることにして、朝練の準備のために少し早く家を出ていた。
朝一の体育館は、空気が透明でボールをつく音がとても耳に心地よい。
トーン トーン トーン パシッ
いつものおまじない。三回ボールを弾ませてゴールに向かって放物線を描く。
カシュッ
ボールが、リングをくぐりネットをゆらす。
「よしっ」
今日はいい日だと、小さくガッツポーズをして自主練を始めた。
こんな感じで、いつもの日課をこなしながら一日が、過ぎてゆく。
「おはよう」
いつもの3人が、そろって体育館に顔を出すのはだいたいこの時間だ。
チームメイトの同級生は、僕を入れて6人いた。
中学からはじめて高校でもとりあえず続けているといった感じのゆるい感じのメンバーだった。
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