白に染まった、君

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白に染まった、君

 「白」と言われれば、君に良く似合う色と、答えるだろう。  初めて出会ったあの日。君は、白色のワンピースを着ていた。この街に引っ越してきて数日の僕に、君は、「あなたは誰?」と言ったね。覚えてる?僕は、よく覚えているよ。嬉しかったからね。お隣さんの君は、笑って僕を迎え入れてくれたんだ。まるで、この街に歓迎されているみたいだったよ。  数年経って。僕らは、同じ中学校に入学した。クラス分けでは、ドキドキしたよ。今思えば、あの時から君に恋をしていたんだろうね。結局、クラスは同じで、更に席は隣だったよね。奇跡みたいな日だった。  授業中、チラリと横を盗み見る。白のセーラー服がよく似合っていた君が、ウトウトとしていて、可愛かった。  高校最後の夏は、僕の人生最大の出来事。放課後の静かな教室で、君に告白をした。本当に。本当に、心臓が飛び出るほどドキドキしていたんだよ。頑張って、君にはバレないようにしていたけどね。けれど、その後の君の「私も」という返事で、それ以上にどうにかなると思ったよ。本当に嬉しかった。  そして、数年後。目の前には、いつかの日と同じ色、白色のウエディングドレスを纏い、少し恥ずかしそうに笑った君が、立っていた。告白に成功して舞い上がっていた昔の自分に言いたかったよ。「それ以上の幸せがあるよ」って。笑いあり涙ありの楽しい式で、良い仲間に恵まれてると思ったんだ。もちろん、良い奥さんにも出会えた。
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