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あの後、母が帰って来て麗を泊めるように僕と梨華は説得した。
姉は反対したが、麗がいないと学校の事件が解決しないからだ。
因みに、僕と麗の部屋は別だ。
最初は反対した母だったが、僕と梨華の念押しに弱いのかあっさり承諾してくれた。
食事をし終わった後、麗に自分の部屋を紹介する為に母が麗と僕と梨華を呼んで麗の部屋へ行った。
「私は別に透明になって、いないふりしても良かったんですけどね……」
「そんな事すると思ったから、私は説得したのよ!」
「だと、思いましたよ。なにせ、ブラコンですからね」
「ブラコン……」
母はこの二人の口喧嘩がツボったのか、口を抑えて笑っていた。
「……と、とりあえずここの倉庫なら使っていいわよ。麗ちゃん今日から宜しくね」
「あ、ありがとうございます……」
泊めてくれた恩義があるからなのか、麗は母親に対して人見知りの様に答えていた。
この天使、いつもは破天荒なのにな……。
そうして皆、各々の部屋へと戻っていった。
はずだった……。
「これであの二人も大人しくしてくれるだろう」
僕は自分のベットでくつろいで寝ようとした。
『主……。主……』
聞き覚えのある声が脳に響く。
『起きてください。主……』
今、真夜中だぞ!
『あ、起きたんですね!』
どうしたんだ?
『あのポンコツ悪魔のミリスの件を言いそびれていました』
明日、なんとかするんだろ?
『いえ、そうではないんです。元々彼女と私は同じ天使になる予定のアンドロイドだったんです。ですが、彼女を製作する時、不具合が生じたせいで誰も守護出来ない天使になってしまいました。どうやら、不具合のせいで彼女は悪魔に近い性質を貰ったようです』
元々、あいつは天使だったのか……。
まるで、堕天だな。
『そのせいもあり、天使アンドロイド学校でも彼女は落ちこぼれのレッテルを貼られ、天使学校で絶望感を味わった彼女は最上位悪魔と契約を交わし、サキュバスの力を分け与えて貰い、堕天使へと堕ちてしまったのです。』
サキュバスって下位悪魔じゃなかったけ?
『力は最上位悪魔しか持っていませんね。全て、彼らが落ちこぼれの天使に分け与えて堕天させているので』
つまり、あいつは誰かに力を分けて貰いサキュバスになったんだな。
『そういうことです』
で、お前はミリスをどうしたいんだ?
『わ、私ですか?天使として彼女を救いたいって、いつもの私のキャラじゃないですね』
まー、いつも毒吐いて馬鹿にしているキャラだしな。
『まー、そこは否定しませんが……』
お前が友達想いって事は伝わったよ。
自分の想い伝えて、それでも駄目だったら僕が胸を貸してやるよ。
『主……』
麗の声が聞こえなくなった。
多分、麗は自分の部屋に帰ったんだと思う。
僕も寝る事にしよう……。
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