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「アンタがしっかりしないからよ」
「はいはい」
彼女の名前は飛草 リン。
彼女は傲岸不遜な性格で、天使だろうが悪魔だろうが自分以外は全て見下している。
僕もまた、その一部だ。
彼女にとって、自分以外はモノでしかない。
路地裏でブツブツと言いながら僕に対してイライラしていた。
「まったく、アンタも七つの大罪の一員なら、バレないようにやりなさいよね!私達は未来からやってきたってこの世界の人に知られたらマズイんだからっ!!」
「バレたらどうなるんだい?」
「うぅ……、そんな前代未聞な事……。誰もやった事ないから分かんないわよっ!!私は忠告しといたからねっ!?」
「はいはい、分かったよ……。」
まったく、面倒くさいやつだ……。
いちいち、未来だの過去だの変えるなって言われたって僕の知ったこっちゃない。
それに過去を変えた所で、何が変わるって言うんだ……。
それに人間、悪魔、天使はこの3つの種族は別物だ。
彼女は何か僕に隠し事でもしているのか?
だって、天使と悪魔は人間では無いし。
干渉した所で僕たち悪魔には関係の無い話だ。
もし、彼と干渉した事で時空の歪みが発生するとしたら一体それはなんなんだろうか。
「僕達にとって不利益になること……」
七つの大罪にとって過去を変えるという事は禁忌だ。
だが、大罪を背負っている悪魔が果たして約束と言うものを守るだろうか……。
普通に考えてアイツら悪魔が守るわけが無いだろう。
だとしたら……。
『おい、どうしたんだ……。』
彼の心の声が聞こえた。
また、あの僕の子と仲良くやってんだろ。
空を見上げると天使と人間が飛んでいた。
「まったく、世話の掛かる子だ……」
そう言って、僕はあの子の全方位100mの範囲を見えないバリアで覆った。
あの子は特に気づいていないようだ。
それでいいんだ……。
僕はただあの子をアシストするだけでいい。
子供の面倒を見るのは、親の務めだから……。
今度、あの少年をからかってやろう。
あの少年を見ていると、モヤモヤするんだ。
母性本能?な訳、無いよね……。
それにあの子と違って、僕はアンドロイドではない元天使だった悪魔だ。
だから、この感情は作り物でもないし、この肉体は本物だ。
まさか、僕が彼の事を……?
確かに、彼は優しい面を持ち合わせている。
だからと言って、好きになるわけがない……。
考えれば考えるほどモヤモヤと眠気が加速する。
僕は力を使いすぎたようだ……。
この狭い路地裏で、僕は眠りについてしまった。
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