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『ごめん、大変な事になったみたいだ……。君にはすまないが助けてくれ』
急にルフェスからの心の通話が僕に届く。
どこにいるんだ?
『う〜ん、そうだ。直接君の脳に僕の視覚情報を送るから受け取ってくれ』
ルフェスがそう言うと、僕の脳内から走馬灯の様にルフェスから視覚情報が送り込まれる。
ここは……、あの路地か!
ルフェスから送り込まれた視覚情報は見覚えのある路地裏場所だった。
『君はこの場所を知ってるの?それなら話は早い!』
分かった……。今から向かう!
緊急を要する事だった為、僕はルフェスが倒れている路地裏に向かった。
麗と梨花にはちょっと用事が出来たと言って外に出た。
「アイツら着いてきてないよな?」
路地裏に入るとボロボロになって倒れているルフェスがいた。
「アハハ……。ごめん、しくじっちゃったよ……」
ルフェスに誰がこんなことを……。
ルフェスはボロボロになりながらも強い眼差しで僕を見ている。
「そんな顔するなよ。これは、僕がやった事なんだ……。詳しくは言えないけど、助けてくれてありがとう。感謝するよ」
ルフェスに違和感を感じた。
彼女の目のクマが見えたからだ。
「お前、まさか……。寝てないだろ?」
「君は鋭いな……。なんで、分かったんだい?僕にとって、寝ないと言うことは死を意味するんだ。こんな所で倒れてしまったのはそういうことだよ」
「おい、そんな事いいから早く寝ろっ!!」
「ごめん。もう寝る事は出来ないみたいだ……。どうやら、誰かに不眠になる呪いを掛けられたみたいで……。僕はどうやら死ぬしかないみたい……」
ルフェスは弱気にそう答えた。
どうやら打つ手が本当に無いみたいだった。
「いつもの強気はどうしたんだ?お前らしくないぞっ!!」
「力が出ない……。もう、駄目そうだ」
彼女の肩から黒い翼が現れる。
力を失うと翼をしまえなくなるみたいだ。
「そんな、お前とはまだ知り合えたばかりなのにっ……!!死ぬなんて早すぎるだろ」
「そんな悲しい顔するなよ……。君と出会えてよかった……それに彼女が君と仲良くしてる所を見て僕は安心したよ……」
「おい、おいっ!!しっかりしろ!!」
ルフェスの息は絶えた。
目の前でルフェスを亡くした僕は喪失感で苛まれた。
「主、いなくなったと思って探しに来たんですが……。えっ?これはどういう状況ですか?」
亡くなったルフェスを見て、麗は僕に尋ねた。
「僕にも分からない。ただ、彼女に助けてくれと言われて来たんだ。そしたら、なぜかこんな状況になってたんだ」
「仲間に裏切られたとか?悪魔ではよくある事ですが……。彼女はなにか異質な力を感じてたので強いはずなんですが……」
「どうなんだろうな……。こんなにボロボロになるまで何をしていたんだろうな」
急に黒服が現れた。
「ちっ、ヘマしやがって……。あれほど言ったってのに……」
「お前はこの前の……」
黒服は亡くなったルフェスを抱えた。
「なんだお前らか……。こいつと知り合いだったのか……。こいつは私の仲間なんだ。なんで、死んだのかは知らんがこいつの亡骸は私が回収する」
回収って物みたいに……。
仲間が死んだのに悲しくないのか黒服は涙も流していなかった。
「あなたは仲間が死んだというのに感情が無いんですね」
「それがなんだと言うんだ?生き物と言うのはいずれ死ぬだろ?そんなものに悲しめと言うのか?我々悪魔は仲間ではない、ただ利害が一致しただけだ……。そこに情など無い」
「まったく救えない悪魔ですね。だから、悪魔に堕ちたんでしょ?憤怒の悪魔の飛草リンッ!!」
「バレていたのか……。この黒い服も意味が無かったみたいだな」
どうやらこの黒服は麗の知り合いだったみたいだ。
ルフェスを安全な所に置いた後、黒いフードを脱ぎ捨てリンは戦闘態勢に入った。
リンはドラゴンの尻尾と頭には二つの角が生えていた女の子の容姿をしていた。
「こいつはここに少し置いとくとして、天使には悪いがお前も天界に返さないといけない。我々の邪魔ばかりする奴だからな」
「邪魔?貴女の方が邪魔でしょ?天界で万年最下位の落ちこぼれだったリン」
「お前、あんまり私の傷をえぐるなよ。泣く感情は無いとはいえ、怒りの感情はあるんだからな」
そういうとリンは麗に鋭い爪で襲いかかった。
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