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「主、これで傷は治ったと思いますよ」
「んっ、な、治ってる……」
「お兄ちゃん!!」
麗の言葉を気にもせずに、梨華が僕の体に抱きついてきた。
床に倒れている僕を心配そうに見つめていた梨華の顔には薄っすらと涙が零れていた。
そんな梨華を見て、麗は少しムッとした表情をした。
「はぁ……。麗、自分の顔を治してくれてありがとうな」
「お兄ちゃん……?」
「主……」
「まぁ、梨華は不服かもしれんが悪い天使では無さそうだしな」
「どこが!!」
まぁ、梨華の思う事も分からん事も無いが妥協しないとまた喧嘩するからな。
この天使のおかげで、梨華も僕に自立するかもしれないからな。
「なんかお兄ちゃん、余計な事考えてない?」
「そんな事無いぞ」
「怪し……。まぁ、いいけど」
「ありがとうございます。流石、私が認めた主です!どっかの妹とは懐が違いますね」
梨華はムカムカしているのか、僕の太ももをツネる。
『お兄ちゃんのせいだからね……』
僕の耳に口を近づけて梨華はそう囁いた。
それを見て、麗が不機嫌になったのは言うまでも無いだろう。
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