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「この世に悪魔がいるわけないじゃん!きっと、気のせいだよ」
集団幻覚とでも言えば、説明が付くだろう。
周りをとにかく落ち着かせないと……。
「き、気のせいだよな……。でも、あいつが……」
あいつとは多分ミリスの事だろう。
一樹は心配そうに僕に言った。
「僕が何とかするよ……。先生には授業に遅れるって説明しといてくれ」
まぁ、あの天使がした事だから僕にも責任がある。
僕はミリスを探しに教室を出た。
保健室や他の教室を回ってみたが、どこにもミリスはいなかった。
僕は職員室近くの廊下で立ち止まった。
「一体、ミリスはどこに行ったんだ?」
「あっ、主……」
「クソ天使じゃないか!」
「ひどっ、たしかに手段が少し横暴だったかもしれませんが……。クソ天使なんて酷いですよ!」
僕は呆れてそう言ったが、麗は顔を膨らませながら怒っていた。
悪いのはどっちだよ……。
「そ、そんな事より見つけたんですよ。あの悪魔……」
「悪魔?」
「あの悪魔ですよ!あの変な呪文唱えてきた悪魔です」
僕は少し戸惑ったが、あんな呪文唱えていたミリスを見てたので若干悪魔かもしれないと思った。
「あの悪魔が一番最初に来た時の事を思い出して下さい。そしたら、自ずとあいつが悪魔と言う事が分かるはずです」
一番最初……。
僕がミリスが最初に会った時、特段可愛いとは思わなかった。
でも、周りは崇める者やミリスが好きな者など転校初日で続出した。
人によって、可愛いや美人は違うので特に気にはしていなかった。
「彼女には人を魅了する力があるのです。自分を好きにさせる力……。周りの人間に一種の洗脳に近い状態に出来るのです。でも、主には効かないなんて流石は主ですね!」
「そうなの……、あんただけ効かないのよ……」
目の前には、黒い尻尾と黄色い角の生えていたミリスの姿があった。
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