第1章 天使と僕 第3節~天使になりたかった悪魔の同級生~

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第1章 天使と僕 第3節~天使になりたかった悪魔の同級生~

「あたしは、あんたみたいに人間に付く事を好んでいない……。でも、あたしは神に仕える天使になりたかったのよ!」 悪魔の羽を羽ばたかせながら、悲しそうにそして強く噛み締めるようにミリスは叫んだ。 「なるほど、そういう類いの悪魔でしたか……」 「ど、どういう意味だよっ!」 「この悪魔は天使の才能が無かった、つまり、失敗ばかり起こすので悪魔にされた駄天使ですよ……」 「駄天使言うな!!」 「だって、そうですよね?違うなら反論して下さいよ」 図星だったのか、ミリスは恥ずかしそうにしながら黙ったまま何も言わなかった。 この子が悪魔だからって言いすぎじゃないのか……。 「私は主以外に慈悲は無いのです」 ミリスの前で僕に言い放った麗は、まるで僕の心の声が聞こえていたかのようだった。 いや、聞こえているな。 「聞こえてますよ。万能天使ですから」 「聞こえてる?あんた何言ってるのよ!」 「あなたには使えない天使の能力ですよ」 ミリスに対して麗は煽るように挑発した。 「は?あたしに喧嘩売ってるの?だけど、残念だったわね。あたしはそんな幼稚な挑発には乗らないわよ。だって、あたしは天使になりたいんだから」 「天使になりたい奴が学校中の奴らを洗脳させたらいけないだろっ!」 「そっ、それはしょうがないじゃない!てか、さっきからあんた全然喋らなかったじゃない。天使の能力使って、二人で会話完結しないでくれる?あたしもいるんだから!!」 「のけものにしないでって事らしいです。とんだ構ってちゃんですねっ!」 「うるさいっ!あたしはのけものにされるのが一番嫌いなだけよ」 「のけものどうこう言う前に、人の心の声も聞こえないんじゃ天使になんてなれませんよ」 「天使って言うより、それってエスパーじゃん!」 「ま、守護天使ですからね」 守護天使と言い張る麗の一言に対して、あまり僕は納得出来なかったがミリスは羨ましそうに麗を見ていた。
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