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今日は散々な一日だった。
あの天使ときたら、あちこちで問題を起こしてはた迷惑な話だ。
僕からしたら、よっぽどあの天使の方が悪魔に近いだろう。
そして、あの騒動でミリスに目を付けられたせいか今日はやたらと顔が白目を向いてる奴に絡まれる厄日だった。
いつもの様に梨華と僕は学校が終わって下校していた。
「お兄ちゃん疲れてる?大丈夫?」
「ああ」
今日一日中、非日常の世界に巻き込まれていたので僕も身体が疲れていたのだろう。
ブラコンではあるが、梨華の方があの二人より幾分かマシに見えた。
比べる相手が間違ってんだよな……。
あの天使はどうでもいいが、ミリスは手を打って置かないと後々精神が持たなくなりそうだ。
梨華と帰りながら、下校していると麗が慌てた顔で僕らに近寄ってきた。
「主!!なんで私を置いて帰るんですか?しかも、そこのブラコン妹と帰ってますし……」
「ブラコンってなによ!!私はただお兄ちゃんが心配で一緒に帰ってるだけなんだからね!!」
「まぁまぁ……」
僕がそう二人をなだめると、二人ともお互いにそっぽを向いた。
なんだよ……、この状況。
「お兄ちゃんは私の事をブラコンとか思ってるの?」
「ブラコンかはともかく……。まぁ、可愛い妹だと思ってるよ」
「か、可愛い!!お兄ちゃんったらまったく……、口がうまいんだから」
「やっぱり、ブラコンですね!100パーセント間違いないです」
微笑しながら麗は火に油を注ぐような事を平然と言った。
空気を読むなんて事は、この天使には出来ないようだ。
なんて、ポンコツ天使なんだ……。
僕が呆れていると、梨華が何かを察した様に僕の方ちらりと見た。
「お兄ちゃんも呆れるなんて、よっぽどだね……」
梨華も僕の真似をするかの様に、呆れ顔をした。
もう、知らね……。
天使も天使だが、妹も同類だった。
ここにはまともな奴は一人もいないらしい……。
「ま、いいです。私はこのブラコンから姿を消します!ま、主には姿は見えますけどね」
「逃げるんだ。ずるっ……」
僕には見えるが、梨華には見えなくなったらしい。
その証拠に、梨華はキョロキョロと周りを見渡していた。
「あ……」
目の前には、敵に会ったかの様に睨みつけて来たミリスがいた。
「ミリス……」
だが、何も言わずにミリスはこの場をすぐに去った。
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