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「人はデータなんかで図れるものじゃないんだ!それくらい、僕にだって分かる……」
昔の自分を思い出して、僕はうっすら涙を溢した。
「なぜ、主は泣いておられるのですか?」
「なんでもない……」
僕は麗に悟られたくなかったので、知らぬ顔をした。
いきなり僕の部屋を壊してくる奴に、自分の気持ちを悟られてたまるか!
まぁ、結果的には自分の部屋直したけど……。
「主の気持ち知りたいです」
僕はこの天使麗に主と呼ばれ、なぜか気に入られてしまったようだ。
僕の部屋の扉からノックをする音がした。
「お兄ちゃん?凄い音がしたけど何かあったの?」
どうやら、妹の梨華がこの音に気づいて、自分の部屋を確かめに来たらしい。
「な、なんでもないよ」
「ちょっと怪しいなぁ」
扉は開けようとはしないが、扉ごしで梨華は疑ってくる。
やばい、梨華が入ってくるかもしれない……。
こんな羽の生えた天使なんて見たら梨華は失神してしまうかもしれない。
「主、どなたですか?」
「少し黙ってて」
僕は一指し指を口に当て、小声で喋ったが梨華には聞こえたらしい。
「話し声が聞こえる。やっぱり、誰かと喋ってるんでしょ?」
梨華は僕の部屋の違和感に感づいたようだった。
「嫌って言っても開けるからね」
そう言って、梨華は僕の部屋を開けた。
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