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■ ■ ■
「まったく、何なのかしらね……」
私は弟の部屋に入って、奇妙な現象に出くわしてしまった。
あれって、幽霊なのかしら……??
私は今まで幽霊なんて見たことも無いし、この家に幽霊が住んでいるなんて聞いたことも無い。
もし、仮に幽霊が住んでいるなら除霊しなくちゃいけないわね。
廊下でばったり妹の梨華と出くわした。
「あ、お姉ちゃん。何か真剣そうな顔してるけど、何かあった?」
「実の部屋で……、ちょっとね」
「え?お兄ちゃんの部屋で!!」
急に妹が顔を赤面して私を見ていた。
きっと、この妹は変な妄想でもしているのだろう。
まったく、困った弟と妹だ……。
「梨華は変な事を想像してるかもしれないけど、それ勘違いよ」
「えっ、お兄ちゃんに告白されたんでしょ?」
ほらっ、勘違いしてる……。
「さっき、実の部屋で幽霊見たのよ」
「あー……。あれね」
「私、幽霊見たのよ。何かリアクション無いの?納得してんじゃないわよ!!」
妹にとって幽霊は周知の事実だったらしい。
確かに、毎日の様に実の部屋に行ってるから知ってるのかもしれない。
いやいや、幽霊よ?いるわけないじゃない……。
「えーっと、昨日住み出したんだよ!!お兄ちゃんの部屋に幽霊が……」
うちの妹はきっと電波なのよ!そうに違いない……。
「もう、分かったわ……」
私は同情した顔で、妹に肩を軽く叩いた。
「お姉ちゃん……」
そう言うと妹は何か察したのか、実の部屋にトボトボと向かった。
「この事、お母さんに報告しないと……」
多分、今日は家族会議になりそうね……。
私は一階で、お母さんが帰って来るまで炊事洗濯しようかしら。
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