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次の日、朝起きてからご飯と味噌汁を食べて身支度をして、いつもの様に僕と梨華と麗の三人で学校へ向かった。
それにしても、あの天使には驚いた。
天使型アンドロイドなのだから当たり前だが、僕らの様に食事はせず、自分の親指の先端をパカッと開けて、その親指をUSBに刺して高速充電していた。
もはや、この天使何でもありだな……。
梨華の方は、たまに寝坊癖があるが今日は起きてるので大丈夫のようだ。
「お兄ちゃん、私が寝坊すると思った?」
「まぁ、梨華はたまに寝坊するからな……」
「そういう時、お兄ちゃんが起こしてくれるから助かるんだよね」
「まぁ、当たり前の事をしてるだけなんだがな」
「私の主ですからね!そんな事常識です」
ま、この天使は非常識過ぎるけどな……。
三人で登校しながら話していた時、梨華の様子が急に変わった。
「ミリス様……」
目の前にはなんと、ミリスが偉そうに腕組みをして立ち塞がっていた。
その横では恍惚とした目で梨華はミリスを崇拝してるかの様に眺めている。
「やっぱり、彼女は洗脳がまだ解けてなかったようですね」
「私の力はやっぱりあんたの持ってる力なんかより素晴らしいわね」
「何が力ですか……。今更ながら貴女に同情してしまった時間を返して下さい」
「時間を返してって?あんたが勝手に同情したんだから返せる訳ないでしょ!」
「そうですね……。時間を返せないなら、そこの彼女の洗脳を解いて下さい。それくらい出来ますよね?」
「でっ、出来るわよ!ま、解かないけどね……」
あ、これは本当は解けないパターンの奴だ……。
ミリスの目は分かりやすい様に泳いでいた。
「ベースクリア!!」
ミリスが解けない事にイライラしているのか麗は意味の無い呪文を唱え、梨華の洗脳を麗は解いた。
「あれ……。私何してたんだっけ?」
なんとも呑気なものだが、洗脳が解けた梨華はそう僕達に呟いた。
「貴女は洗脳から助けてやったというのになんとまぁ、呑気なもので……」
あの時、梨華に襲われる前にチャームの魔法が解けて良かった。
梨華はスポーツ万能という域を超えているので、洗脳状態の梨華に襲われたら大惨事だろう。
梨華はポカンと口を開けて、少しボーッとしていたが我に返ってブチ切れ出した。
「はぁ?やったって何?何でそんなに上から目線なのよ!」
「天使ですから、貴女なんかより崇高なんですよ」
「なにその設定?あんた漫画の読み過ぎなんじゃないの!」
「実際そうなんですから仕方ないじゃないですか!貴女は敬いなさい。でも、主は別ですからね」
「私の事、無視してんじゃないわよ!」
ミリスの声はあの二人からまったく聞こえて無かった。
「主、主って何よ!大体、お兄ちゃんの事何も知らない癖に従者面してんじゃないわよ」
「だから、私……」
「「あんたは黙ってろ!!」」
「ひぃ、覚えてなさいよ」
捨て台詞を放ったミリスは二人に怖気づいてしまったのか、そそくさと帰ってしまった。
「あれ、そう言えば……」
僕らは思い出した。
「「学校あるじゃん……」」
学校がある事に気づいた僕らは学校の方へと駆け足で向かった。
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