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「あれ、お兄ちゃんだけ?おかしいなぁ……、他にも声が聞こえたはずなんだけど」
ツインテールの黒髪をぶら下げて勝手に扉を開けた梨華には麗は見えていないようだった。
不思議な顔をして、梨華は僕の方向を見ていた。
「お兄ちゃんが女の人みたいな声出すから勘ぐっちゃったじゃん。やめてよね!」
「あはは、ごめん。小説朗読してたら感極まってしまったよ」
「そうなんだ。まったく人騒がせなお兄ちゃん……」
梨華はそう言うと僕の部屋の扉を閉めて下へ行った。
はぁ、良かった。とりあえず、災厄の魔の手からは退けた感じだ。
こんな天使を何も言わずに僕の部屋に上げているって妹が知ったら、逆の意味で怒られそうだ。
それにしても、この天使は僕以外の人間には見えないとでも言うのか?
でも、声だけは妹には聞こえるらしい。
本当に意味不明だな。
どうせなら、声も聞こえなかった方が良かったのに……。
「声とか消せないのか?」
「こ、声聞こえてました?ノイズキャンセル!!」
え、そんなことも出来るのか……。
周りに人がいない為、比較出来ないのは残念だがさっきの流れだと周りに声は漏れていないだろう。
なんてハイスペックな天使なんだ……。
それがこのよく分からないハイスペックな天使と僕との最初の出会いだった。
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