103人が本棚に入れています
本棚に追加
「やっぱ、昨日からお兄ちゃんおかしいよ!昨日は急に女の子みたいな声出すし。今日は玄関前で大声で『やめろ!』とか怒鳴るし。今だって、いつものお兄ちゃんならペース合わしてくれるはずなのにそそくさと行っちゃうし……。何かあったとしか考えられない!」
うっ、我が妹ながら鋭い洞察力だ。
長年周りから『ブラコン妹』と呼ばれただけはある。
「主の妹ってまさかブラ……。」
「あーあーあーあー!」
「お、お兄ちゃん。また、どうしたの?」
「お、お兄ちゃんはただ早く学校へ行って予習したいだけだよ。昨日とか今日の言動も気にしないでくれ!特に意味はないから……。」
「分かったよ。お兄ちゃんも大変なんだね……」
何が分かったのか僕には分からないが、梨華は納得してくれた。
ありがとう、梨華の優しさは今はありがたいよ。
僕はこの二人と歩きながら梨華の優しさに感謝した。
「流石、主の妹ですね!お優しいです」
お前のせいでこんな事になってんだろ!
内心、そう思ったがまた梨華に迷惑を掛けてしまいそうだったので言えなかった。
「梨華もそろそろテスト期間だろ。勉強しなくていいのか?」
「私は良いもん!普通の点数さえ取れればそれで!」
「ノットキャンセラー!」
そう唱えると今まで梨華には消えていた麗が梨華に見えるようになった。
「ええー!誰?えー!羽ー!」
唐突に現れた天使を見て、言語障害を起こしているような言葉を梨華が発した。
「そういうわけだよ」
梨華は動かなくなったまま固まっていた。
最初のコメントを投稿しよう!